「シーツは買ったほうが安いのでは?」
新規開業の方からも、経費を見直している方からも、よくいただくご質問です。たしかに、シーツ1枚の値段とレンタル1枚あたりの単価を並べれば、購入のほうが安く見えます。
ところが1年運用してみると、「思ったより安くならなかった」という声も少なくありません。理由は単純で、最初の比較で数えていなかった費目がいくつもあったからです。
この記事では金額ではなく、「どの費目を数えれば正しく比較できるか」という比較フレームをお渡しします。金額は規模や稼働率で変わるため、ご自身の数字を当てはめてお使いください。
比較がずれる原因は「見えない費目」
比較でよくあるのは、次のような形です。
- 購入側は「シーツの購入代金 ÷ 想定使用回数」だけで計算している
- レンタル側は「1枚あたりの単価」をそのまま並べている
この時点で土俵が揃っていません。購入側に洗濯費用も、洗う人の時間も、保管場所の費用も入っていないからです。
原則は、「同じ結果を得るためにいくらかかるか」を並べること。得たい結果は「毎日、清潔で乾いた規定枚数のリネンが客室に用意されている状態」です。そこに至る費用を両方式について書き出します。
費目チェック表:まずこれを埋めてみる
比較に必要な費目の一覧です。まずは金額を入れず、「自施設ではこの費目が発生するか」だけをチェックしてみてください。
| 費目 | 自社購入+自社洗濯 | リネンサプライ | 見落としやすいポイント |
|---|---|---|---|
| リネン本体の購入費 | 発生する(初期に集中) | 原則発生しない | 初期投資が一度に出ていく資金繰りの影響 |
| 予備在庫 | 発生する | 原則発生しない | 客室数の何倍持つかで総額が大きく変わる |
| 洗剤・薬剤 | 発生する | 料金に内包 | 使用量は汚れ具合で変動する |
| 水道光熱費 | 発生する | 料金に内包 | 乾燥機の電気・ガスが特に重い |
| 洗濯機・乾燥機の購入と償却 | 発生する | 発生しない | 業務用は家庭用より寿命も価格も別次元 |
| 機材の修理・メンテナンス | 発生する | 発生しない | 故障時の代替手段も含めて考える |
| 洗濯・仕上げの人件費 | 発生する | 発生しない | 最大の費目になることが多い |
| 畳み・仕分けの時間 | 発生する | 納品形態による | 清掃スタッフの時間を奪っていないか |
| 破損・汚損時の廃棄と買い替え | 発生する | 契約内容による | 年間の入れ替え率を見積もる |
| 保管スペース | 発生する | 小さくできる | 客室にできたはずの面積は機会損失 |
| 洗濯スペース・排水設備 | 発生する | 発生しない | 建物側の工事費が絡むことがある |
| 欠品・遅延時のリカバリー | 自社で対応 | 供給側と分担 | 満室日に回らないときの損失 |
| 品質のばらつき対応 | 自社で管理 | 供給側が管理 | クレーム対応の時間もコスト |
この表でチェックが多く付く側ほど、実際の負担は見た目より大きいということになります。
特に見落とされやすい3つの費目
1. 人件費と「誰の時間か」
自社洗濯でいちばん重いのは、多くの場合、洗って干して畳む人の時間です。見落とされやすいのは、専任者を置かず清掃スタッフやオーナー自身が空き時間にやっているケースが多いから。給与明細に「洗濯費」という項目がなく、費用として認識されないのです。
しかしその時間は本来、清掃や接客、集客の改善に使えました。時給換算して表に書き込むと、比較の景色が変わります。
2. 予備在庫の枚数
リネンは客室数と同じ枚数では回りません。使用中・洗濯中・乾燥中・在庫と、同時に複数の状態が存在するためです。必要枚数は客室数より確実に多くなります。購入費を計算するときは、この倍率を掛け忘れないでください。
さらに、破損や汚損で入れ替わる分が毎年発生します。「一度買えば終わり」ではなく、毎年一定量を買い足す前提で年間コストに含めます。
3. 保管スペースの機会損失
リネンを自社で持つには置く場所が要り、予備在庫を厚めに持つほど収納は大きくなります。その面積は本来、客室や休憩スペース、物販の場になったかもしれません。面積あたりの収益で換算して書き込むと、比較の精度が上がります。
数値例:あくまで考え方を示すための仮の数字です
以下の数字はすべて、考え方を示すための仮の数字です。実在の価格でも、根拠のある相場でもありません。
仮に購入方式の年間コストを「購入費 100 + 買い替え 20 + 洗剤 30 + 水道光熱 60 + 機材償却 40 + 人件費 150 = 400」と置きます。人件費を数えなかった場合の合計は 250。同じ運用なのに、数える費目が違うだけで6割近く違う数字が出てしまいます。
比較の結論を左右するのは単価ではなく費目の網羅性です。まず表を埋め、それから自施設の実際の金額を入れてください。
施設タイプ別の考えどころ
方式の向き不向きは、規模と稼働の安定性で変わります。
- 客室数が少なく稼働の波が小さい施設:自社洗濯でも回しやすい。ただし1人体制だと体調不良時に一気に破綻します
- 客室数が多い、または稼働の波が大きい施設:ピークに合わせて機材と人を持つと閑散期に遊びます。外部化のメリットが出やすい傾向
- 民泊・ゲストハウスなど稼働が読みにくい施設:初期投資を抑えられるかが判断軸になりやすい
- 洗濯スペースや排水設備に余裕がない建物:そもそも自社洗濯の選択肢が狭まります
沖縄では湿度の高さも判断材料です。乾燥に時間がかかる時期は、乾燥機の稼働時間も、生乾きによるにおい・変色のリスクも上がります。帳簿に出にくいぶん、事前に織り込みたい要素です。
まとめ
- 「買うほうが安い」に見えるのは、購入側の費目を数え切れていない場合が多い
- 比較の単位は「単価」ではなく「同じ状態を1年維持するための総額」
- 費目チェック表をまず埋め、自施設に発生する項目を洗い出す
- 特に人件費・予備在庫の倍率・保管スペースの機会損失は見落とされやすい
- 記事内の数値例は、考え方を示すための仮の数字です
- 規模・稼働の波・建物の設備条件によって、向いている方式は変わります
沖縄でリネンの回収・洗濯・納品をまとめて任せたい方へ。ノゼランリネンサプライでは、施設の規模や稼働状況に合わせたリネンサプライのご提案を行っています。現在の運用にかかっている費目の洗い出しからでも、ご一緒に整理できます。「今の運用のままで繁忙期を乗り切れるか不安」という段階でのご相談も歓迎です。まずはお気軽にお問い合わせください。

